表紙の黒いぶちのある白い犬と白いぶちのある黒い犬。どっちがハリー?それは読めばすぐわかりますね。
ハリーはお風呂が大嫌い。ある日、お湯を入れる音が聞こえてきたハリーはブラシをくわえて外に逃げ出します。ブラシを裏庭にうめて隠したあと、外で好きなだけ遊びます。道路工事の現場や空き地、石炭トラックを滑り台にして! もうすっかり全身泥だらけ、すすだらけ。いつの間にか白いぶちのある黒い犬になってしまうのです。そろそろ帰らないと家の人が心配すると思いハリーは帰るのですが……?
今から50年以上も前、親の世代が子どもの頃から愛読され続けているこの絵本。軽快なタッチの絵と文が読者を惹きつけます。変わらないのは、元気なハリーの愛らしさ。お風呂が嫌いなところも、思いっきり泥遊びをしてしまうところも、家の人に気が付かれなくてしょんぼりしてしまうところも、無事に戻れて嬉しそうにしているところも。
子どもたちはハリーに共感を持って、ドキドキしながらこのお話に夢中になり、大人は我が子と重ね合わせ、家族で過ごす幸せを感じながらこの絵本を読むのでしょう。読んだ後、親子共々楽しく穏やかな気持ちになれる名作絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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