ゆうかは大事に飾ってあったおもちゃの船を壊してしまって、おかあさんにおこられました。
ゆうかの目からは涙が出てきます。あとからあとから出てきます。
あとからあとからあとから出てくるうちに、つっぷしていたテーブルの上はいつの間にか大きなみずうみに。
そのみずうみに鳥がやってきました。
動物たちが水を飲みにやってきました。
いつの間にかそこは、とても穏やかで気持ちのいい景色。
やがてやってきたのは小さな男の子。ゆうかのみずうみにふねを浮かべます。
その時、「は、はくしょん!」
ゆうかの大きなくしゃみのせいで、みずうみに大きな波が起き・・・!
泣いて泣いて、泣きつかれた頃にゆうかの想像の世界は広がっていきます。
そして、その世界はゆうかの感情や小さな行動ひとつでどんどん変化していきます。
どうなってしまうのかと、読んでいる方もどきどきします。
泣きはじめてから泣きおえるまで。
大人の目から見たら、どうしてこんなに泣き続けるのだろうと、子どもの気持ちが見えなくなってしまいそうになることもあります。でも小さな子どもたちにとっては、そこの間の道のりは長くて、でも通り抜けなければ進めない、大きな心の冒険なのかもしれません。
みんなそうやって泣いて泣きやんでを繰り返して大人になってきたのです。
帰ってきた時に、おとうさんやおかあさん、まわりの大人の人が優しく迎えてあげられたらいいですね。
作者は本書がはじめての絵本となる千葉智江さん。とっても繊細で美しい絵本が届きました。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む