表紙の、ねこの顔をしたどうぶつは、つばさがあって、しっぽもある。
片足はゾウみたいで、もう片足はツメがながい・・・何だか怪獣みたい?
いいえ、絵本に登場するのは、怪獣じゃありませんよ。
ちゃんとしたねこや、キリン、コイ、うさぎ、ゾウ。
ただし、とびっきり自由なイラストレーションの世界に生きる作家たちが描いた絵だから、魚のコイにしては口がラッパ型にひろがりすぎていたり、キリンにしては頭にわたぐもみたいなものをのっけてたりします。
でもそれが素敵!
これは、表題に「エリック・カールとなかまたち」とサブタイトルがついているように、エリック・カールから世界で活躍するイラストレーター仲間へなげかけた質問の答えが絵本になったものなんです。
つまり「きみの すきな どうぶつ なあに?」ってね。
エリック・カールの質問に答えた13人、本人をあわせて14人。
各人が好きなどうぶつを、見開きいっぱいにのびのびと描いた絵があつめられています。
そして、なぜそのどうぶつが好きなのか、わけをおしえてくれています。
ユーモアたっぷりな理由もあるし、けっこう真面目に答えている文章もあるんですよ。
個人的には、ピーター・シスの「青いコイ」に、ぐっときちゃいました。
幻想的な絵に、チェコスロバキアでクリスマスイブにコイを食べる伝統行事、子どもたちの願いの話が、じわーっと胸にせまります。
ひとつひとつの絵と文章が、それぞれまったくちがう世界観を伝えてくれます。
一枚一枚の絵をショートストーリーのように楽しめる、ちょっとおしゃれでおもしろい大型絵本。
巻末に掲載されている、作家たちの子ども時代の写真は貴重ですよ!
「メイシーちゃん」シリーズ作家のルーシー・カズンズ、コルデコット賞受賞作家のエリン・ステッド、レイン・スミス、ジョン・クラッセン・・・。
さあ、あなたはだれの答えを知りたいですか?
(大和田佳世 絵本ナビライター)
続きを読む