「しーん」
ちょうちょが飛び立つ、その一瞬の間に漂う気配。
「カチッ」
鳩時計が12時を指し、その時間を告げる直前の静けさ。
「はっ」
猫が獲物を見つけ動き出す瞬間、伝わってくるその緊張感。
ピリピリするような、繊細な変化が描かれていくこの絵本。
ものごとが動き出す前のほんの一瞬、そこに永遠がある・・・
そんな秘密めいたテーマを考えついたのは、歌人の穂村弘さん。
私たちは、そこに何が隠されているのか、何を感じとることができるのか。
美しく構築された連続の場面を見ながら、考え、体験していくのです。
そしてやってくる、最後の展開。
「みつあみちゃん」
時の流れの感覚が、一気に撹乱させられるよう。
それでもやっぱり、すべてが「まばたき」する間のできごとなのです。
ドキっとしながら、でも、大好きな酒井駒子さんの絵をじっくりと堪能する喜びにひたれる。
そんな特別な絵本が誕生しました。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む