この世の中、ほんとは魔女がウジャウジャいるんだよ…。ぐうぜん魔女たちの集会にまよいこんじゃった少年。魔女に見つかり、ネズミにされてしまう! 少年は祖母の知恵をかり、世界中の魔女たちに戦いを挑む。小さなネズミ(少年)が痛快な大活躍。
魔女登場の作品は、絵本でもたくさん読みました。
どの魔女も怖いと言うよりは、可愛らしかったり愛すべき弱点があったりと、おどろおどろしい感じとはかけ離れた存在として描かれている作品が多く、どこか安心して読めました。
作者は、ダールさんだし、この作品もきっとたくさん笑わせてくれるんだろうな〜、と勝手に決め込み読みました。
恐るべし、ダールさん!
子供心を掴んでいらっしゃる。
この不気味さスリリングさは、子どもにきっとうけるでしょう。
子どもは怖いもの大好きですもの。
主人公の男の子は、不幸な事故のため両親を失い、ノルウエーのおばあちゃんと住むことに。
おばあちゃんの話してくれる魔女のお話は、「ほかのほとんどのお話と違って、作り話じゃない本当のことだ」とおばあちゃん。
このおばあちゃんの語る魔女の特徴のまことしやかなこと、読んでいてこのおばあちゃんは一体何者?と訝しく思ってしまいました。
そして、ダールさんのこの奇想天外な発想に、いえいえ魔術に見事にかかってしまい最後までいっきに読みました。
魔女の見分け方をおばあちゃんから聞いていた主人公の“ぼく”は、ある日ひょんなことから、魔女の集会を目撃してしまい、魔女たちに見つかり、・・・。
手に汗握る展開に、“ぼく”がどうなってしまうのかが気がかりで、先を急ぎ読みました。
これから先、おばあちゃんと“ぼく”に残された課題(任務)に思いを馳せ、爽やかにお話は閉じられています。
日本の読者からすれば、こんな閉じ方もありなのか、という感想をもたれる方もいるやも知れません。
私と息子は、続編の存在を期待しています。
造語の達人ダールさんの愉快な“魔女言葉”をそのニュアンスを壊さず見事に訳された作品だと思います。
ブレイクさんのあったかくてユーモア溢れる素敵な挿絵も、ダール作品にはなくてはならないものだと、今回改めて楽しみながら思いました。 (アダム&デヴさん 50代・ママ 男の子12歳)
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