ヌスートは、ねらったものは必ず手に入れるという、町でも評判の大泥棒。
そんなヌスートに、王さまから挑戦状が届きます。
「なんでもぬすめるのなら、わしのおたからをぬすんでみよ。しょうぶだ!」
さっそくヌスートは返事を書きましたよ。
「王さまのおたからをいただきに、お城へまいります。しっかりみはりをおつけください。だいヒント! ぬすむおたからはこちらです。」
なんと、ヒントの絵付きの返事です!
さあ返事を読んで、王さまは張り切ります。城中の家来をあつめ、ヌスートが描いた「ぬすむおたから」の絵を見せて「これがわかるものは手をあげよ!」といいます。
絵に描かれているのは、四角の中に山型の曲線が3つ。これは、お宝の山? 金のたまご? それとも、山型のパン? ヘビの背中……?
おたからとはいえないようなものまで、ありとあらゆるものを、王さまは家来たちに守らせます。
そして朝がきたときに、王さまのところからなくなっていたものはいったい!?
ユーモラスな大泥棒と王さまの知恵くらべ。手紙のやりとりからはじまる「しょうぶ」も、絵のヒントからなぞなぞみたいに想像する楽しみも、子ども心をたっぷりくすぐってくれます。
挑戦状を送ったくせに、王さまが「わかるものは手をあげよ!」なんて家来まかせなのも、何だかおかしくて笑っちゃいます。
しかも最後のページときたら!
……これはもうしばらく親子でウンウン首をひねりながら考えるしかありませんね。
高畠じゅん子さん、高畠純さんのコンビによる絵本、第4弾!
といってもお二人の名前が似ているのは偶然だというのですから、本の中身に負けず、作者の名前までシャレがきいています。
読んだあとは自分でも絵を描いて「これはなんだ?」とクイズを考えたくなるにちがいありません。
3・4・5歳の子はもちろん、小学生もこんな絵本は大好き。
ワイワイ絵本をのぞきこみながらみんなで読むのも楽しいですよ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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