戦時下であっても、人間性を失わない音楽家Oじいさんのチェロの響きは、人々にやさしい気持ちを思い出させ、勇気を与えてくれるのでした。
戦火の町に住む女の子が語り手です。
めちゃくちゃになってしまった町。
男手は皆、戦争に出かけてしまい、残されているのは子ども、女性、老人、病人だけ。
その人々が、週に1回、配給物資をもとめて広場にやってきます。
そこには、人とろくに話もせず、「オー」と怒ってばかりの「O(オー)じいさん」もいました。
ある日、その広場も攻撃され、絶望が人々の心を満たしそうになったとき、Oじいさんが、その広場でチェロを弾き始めるのです。
美しいバッハの旋律は、生きる勇気を与えてくれます。
しかし、そんなOじいさんを敵が放っておくはずはなく、攻撃を受けて大事なチェロが壊れてしまうのです。
わずかな楽しみさえ失われたかに思われましたが、再びOじいさんは広場に現れます。そして…。
女の子の心を解かし、人々から怒りや恐怖を忘れさせる音楽の力。
そして弱者の心を癒す、その力さえも容赦なく破壊する戦争のむごさ。
物語の中では戦争は終わりません。Oじいさんは再び攻撃されてしまうのでしょうか?
「いいお父さん」としても有名な、タケカワユキヒデさんの訳です。 (わらはべさん 40代・ママ 女の子6歳)
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