
舞台はパリ。路地裏の静かな通りにひっそりとルリユールおじさんの店はあります。「ルリユール」とは手作りの製本の事。ソフィーは大切にしていた植物の図鑑がばらばらになってしまい、途方にくれてしまいます。そこで街の人に教えてもらったのが、「ルリユールおじさんのところへ行けば直してくれるよ。」という言葉。ソフィーが歩き回ってやっと探したのがこのお店。 ソフィーの目の前でおじさんは植物図鑑をどんどん修復され、生まれ変わらせていくのだけれど、その細かい工程がきれいな絵で紹介されていたりして「あぁ、こんな丁寧な作業があるのか・・・」と感動せずにはいられません。なにせ、製本職人は60もの工程を覚えなければならないそう(!!)なのだから。やがてソフィーの世界で1つだけの美しい植物図鑑が出来上がっていくのと同時に、ソフィーの世界、おじさんとソフィーの交流、おじさんとやはり製本職人だった父を思い出していく様子などがとても丁寧に描かれていきます。 最後に金箔の文字が入って完成した瞬間にはこちらまで何とも言えない幸せな気持が生まれてきてしまいます。分厚い革表紙に金箔の装飾のヨーロッパの本、あの存在感にどうしてこんなに憧れてしまうのだろう・・・と思っていたけど、この絵本を読んで納得。「魔法の手」で作られていたのですね。今では全工程をマスターしている職人さんは一桁だそうです。ますます憧れる・・・。 秋も深まるこの季節にぴったりの、本を愛するちょっと大人の為の絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

たいせつにしていた植物図鑑がこわれてしまった、パリの少女ソフィー。 本をなおしてくれる人がいると聞いて、ルリユール(製本職人)を訪ねる。 本への愛情と、時代をこえてつながる職人の誇りを描いた傑作絵本。 講談社出版文化賞絵本賞受賞作。

星5つじゃたりないくらい、オススメです。
とにかく感動しました。この本のストーリーもルリユールという仕事も、とても美しい絵も、あらゆる面で感動です。
こういう感じの絵本は大人ウケはすごく良いのは分かりますが、6歳の長女までもがいたく感銘を受けていたところがすごいです。
「ルリユールってなんだろう?」
「女の子の本はきれいに直るのかな。」
「ルリユールの工程をどうやって(作者は)調べたの?」
「すごいきれいな本になったね。」
「ソフィーは、大きくなって、すごくなったね。」
と、長女はストーリーの流れにのりわくわくする気持ちを抑えきれない様子でお話に聞き入っていました。
最後の最後のページまで、心に入り込む感じで読めました。
本当に充実した読後感を味合うことができ、幸せでした。
長女は
「わあ、すごかった。ソフィーもすごいね。」
と、興奮気味に感動してました。 (AAさん 30代・ママ 女の子6歳、女の子3歳)
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