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私の最近のお気に入りの、新・講談社の絵本シリーズの一冊。21世紀に残したい珠玉の名作が揃っていてお奨めです。
この絵本もそうなのですが、かつての有名な日本画家の先生が素晴らしい挿絵を描いている秀作の日本昔話です。
猿が悪知恵を働かせて、蟹のおにぎりを柿の種とまんまと交換したのですが、いざ、柿の種が育ち、たわわの実がなると、今度は、柿の実を採るのを頼まれたのをいいことに、蟹に渋い青柿しか採ってあげず、しまいには、柿の実を投げつけて大怪我をさせてしまいます。もうこれは現代にも繋がる弱いものいじめの見本といえるでしょう。
しかし、昔話の良いところは、やはり子供にもわかるように、戒めをこめた結末で終わるところです。
最後には、素直に手を突いて心から謝ります。捕まって終わりではなく、悪いことをしたら、きちんと謝る姿を子供たちに手本として示してくれています。ここがすばらしいし、大事なことだと思います。
勧善懲悪がはっきりとしていて、読後に気持ちがスッキリするので、子供たちの心にも安定感与えてくれるのではないでしょうか。
はやく芽をだせ、
かきのたね。
ださぬと、
はさみでちょんぎるぞ。
の一節は、リズミカルな繰り返しがあり、読んでいて楽しい文章です。
低学年の読み聞かせに、読ませていただきましたが、知っている子も多いこの話、でも、やはりじっくりと聞き入ってくれる魅力ある絵本です。 (はなしんさん 30代・ママ 女の子9歳、男の子6歳)
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