小さい頃、自分が大好きだった「いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう」「ちいさなおうち」「せいめいのれきし」のバージニア・リー・バートンの作品。
特に「せいめいのれきし」を、夢中になって貪り読んだ記憶が鮮明に残っています。
この作品は邦訳が1980年なので、読んだことはなかったのですが、一目見てバートンの作品と分かるもの。
初版自体は1952年。
「サンフランシスコに、はじめてケーブルカーが走ったのは、1987年8月1日のことでした。」というフレーズで始まるまえがきが奮っています。
そう、これは、ケーブルカーの歴史を綴り、廃止運動を乗り越えて存続するに至ったケーブルカーをメーブルという主人公を通して描いたものです。
丁寧に史実に基づいて書かれたお話は、社会的資料として価値のあるもので、バージニア・リー・バートンのその努力に敬意を払わずにいられません。
その特徴のある色づかいと構図の素晴らしさは見事の一言。
駅の名前を配置した見開きのページとか、市役所に請願書を提出するために市民が押し寄せるページとかは、誰にも真似出来ない領域のものだと思います。
文章自体は、彼女の他の作品よりもかなり多くなっているので、読み聞かせの年齢対象が一寸高めになるかも知れません。
小学校低学年が自分で好んで読むのに向いている作品とも言えそうですが、読み手を虜にするのは間違いありません。
私自身子供の頃出会っていたら、間違いなく心を奪われたであろう一冊です。
文句なしにオススメします。 (ジュンイチさん 40代・パパ 男の子12歳、男の子6歳)
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