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シジミはたれ目で目ヤニのきたない子猫でした。公園にすてられていたのをショウちゃんが拾ってくれたんです……。やってきた子猫の生活をやわらかな銅版画で描いた、人気イラストレーターの話題の絵本。
シジミは公園に捨てられていた猫です。なぜシジミか?小さくて、貝のシジミの殻の模様に似ているから。お母さんの友達が来て、寝ている僕を見て「シジミが落ちているみたいね。」と言ったその時から、そういう名前になりました。
でも、お母さんは、シジミなのに、フジミと呼ぶようになり、フジオさんとか、フジサキさんとか、そういうふうにシジミを呼びます。
僕は、朝、お父さんを起します。ほかの用事といえば「ご飯」「水」「トイレ」ご飯は、「ポリポリ」と「かんづめ」で同じ種類のものが続くと飽きます。トイレは外で。出る時と帰ってきた時に、戸をかりかりして合図します。寝るのは大好きです。
僕は、ネズミを見たことがない。鳥や虫は庭にいるけれど、鳥もとらないし、虫もとりません。犬やザリガニや、時々、不思議な動物が来て、びっくりすることもあります。家に泥棒が入ってきたこともありました。
僕を拾ってくれた小学生のショウちゃんは、今では二十歳になり、僕も年をとりました。でもまぁ、幸せな毎日かな、と思います。
これは、猫の目から見た、毎日の生活を淡々と書いた絵本です。
ただただ、猫のありふれた、普通の毎日が書かれている。
感動ものでもなく、泣ける話でもなく、びっくりするような事件もおきない。
でも「まぁ、幸せな毎日」なのです。
でも、まぁ、幸せな毎日っていうのはいいもんです。なんだか、これを読むとほっとします。 (たかくんママさん 30代・ママ 女の子7歳、男の子4歳)
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