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小さな女の子サリーの親友は、なんと大きなライオンのハーバート! だけど、ライオンといっしょに暮らすなんて、まわりの人は大反対。 2人がいっしょに暮らすには、いったいどうしたらいいの? コルデコット賞作家ニューベリーのデビュー作。
コールデコット賞オナー賞を4度も受賞したクレア・ターレー・ニューベリーの記念すべき1931年に出版されたデビュー作。
コールデコット賞は、アメリカ児童図書館協会が、その年に出版された最も優れた絵本に授与する賞で1937年に創設され、次年度から選出しています。
19世紀イギリスのイラストレーター、ランドルフ・コールデコットを記念して名付けられていて、ニューベリー賞と並んで、アメリカで最も権威のある児童書の賞とされています。
※ニューベリー賞の名は、18世紀イギリスの著述家・出版家のジョン・ニューベリーに因んでいます。
物語は、サリーという女の子が、本物のライオンが欲しがっているシーンから始まります。
買物に出かけたお母さんが、お土産にライオンの赤ちゃんをもって帰るのですが、冷静に考えてみると奇想天外な話。
でも、それは絵本ならではの世界で、楽しいサリーとライオンの共同生活が始まります。
ハーバードと名付けたライオンは、サリーと同じ食事をするという設定で、肉食動物には有り得ないのですが、これもご愛嬌。
でもだんだん、ハーバートが大きくなると問題が起き始めるのです。
困った両親は、ハーバードを山の牧場に行かせるのですが、結局、ハーバードはサリーの元に戻ってきてしまい、両親はある選択をし、ハッピーエンドとなるというお話です。
ライオンが人間と同じ食事をしたり、犬でもないのに、離れた場所から戻って来たり、牧場で放し飼いにされたりと、余りに現実離れした設定が多い作品です。
それはさておき、分章は長いのですが、起承転結がはっきりしているので、飽きさせることなく読み聞かせできる絵本だと思います。
シンプルな絵は、黄色と水色という二色刷ですが、味わいのある絵。
1931年という時代を鑑みると、コールデコット賞が存在していれば、オナー賞には入っていたのではないかと思える古典的名作としてオススメします。 (ジュンイチさん 40代・パパ 男の子12歳、男の子6歳)
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