『ぼうぼうあたま』は近代絵本のルーツ、ドイツのマザーグースともいわれ、世界中で愛されている絵本です。
この絵本は、ハインリッヒ・ホフマンが3歳の息子カールのため、1844年につくりました。
クリスマス、息子に絵本をプレゼントしたくて本屋をさがしたけれど気に入った本がなかったので、自分でつくってしまったのです。医師であるホフマンは、泣いて嫌がる子どもの患者を診察する時に、よく絵を描きながらお話をし、仲良くなってから診察をしていたそうです。
本書は、1936年に日本で初めて刊行された初版本をできるだけ忠実に再現しており、フランクフルト市長や、ドイツのぼうぼうあたま博物館館長のご推薦もいただいています。巻末には解説つき。
七五調のリズム感あふれる言葉と、ハッとするほど強烈な絵。
一見、残酷な絵本のようですが、医師であるホフマンが、愛するわが子のためにつくった絵本は、時をこえ、国をこえて愛され続けている、世界的なロングセラー。
例えば、絵本作家のせなけいこさん。
『ぼうぼうあたま』がファーストブックだというせなさんは、本書の文章を今でもそらんじています。
ファンタジー作家の佐藤さとるさんは、忘れられない一冊として『ぼうぼうあたま』を挙げておられます。
「おそら ながめの ハンスさん」では、いつも空をながめているハンスが、木の根につまづいたり川に落ちたりして、魚にまで笑われます。
ドイツでは、桃太郎さんのように誰もが知っている絵本なので、ボーッとしている子どもには、「ほら、ハンス」と声をかけるとか。
「ゆびなめ こぞう」では、なめた指を大きなハサミで切られてしまいますが、これも、医師であるホフマンが、ばい菌だらけの指をなめることが命にかかわる危険をはらむということを、幼い子どもにもよくわかるように工夫したお話。
当時はペストが流行っていたのです。
しつけの国としても名高いドイツの、しつけ絵本ともいわれる所以です。
ぜひ、幼い頃から繰り返して読んであげてください。
怖い中にも子どもへの深い愛情がぎっしりつまっていることを、いつのまにか全身で感じて育ちゆくことでしょう。
子どもへの深い愛情があればこその戒め。
それが、世界中で愛されている『ぼうぼうあたま』なのです。
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