細々と仕事をしてきた乗合い馬車が、悪者をつかまえます。やわらかな色合いのあたたかい絵本です。
社会のことに疎い子どもでも、優しいか強欲かは理解できる。
それが社会にどう役立つのかは別として、
グレアム・グリーンの話は最後まで気を抜けない面白さだ。
主人公はガチョウ通りの食料品店優しいポッターさんでも、
向かいに開店したでっかい衛生商店の強欲店主でもない。
ほこりをかぶって納戸に押込められていた小さな乗り合い馬車だ。
もちろん自走できないから、子どもに人気のポッターさんちの馬、
ブランディが引っ張る…なぜこんなに、話がまわりくどいのだろう?
それはきっと、毎日くらしている世の中がそうなんだろう。
グリーンの育った時代からすでにそうだったんだと考えると、
子どもは賢い、話の火種を忘れないもの。感心する。
こういう絵本、いつ読んでもいいなあ。
阿川弘之の訳にも味がある、数少ない絵本。
なんだかアーディゾーニの絵とも呼応している。
とっても感謝。 (もゆらさん 50代・その他の方 )
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