クリスマス・イブの日のお話です。
いつもより、もっと早起きなのはケーキ屋さん。
「さあ、はじめるぞ!」
もちろん、今日は大事な日。なにしろケーキを100個作らなければなりません。クリームをぬって、いちごをのせて…99個が出来上がります。それから最後の一つは特別に大きなケーキ。毎年ねこのクロと一緒にクリスマス・ケーキを食べるのを楽しみにしているのです。
お店は大盛況。たくさんのお客様に次々とケーキが売れていきます。
「ありがとうございました」
99個のケーキが全部売れた時、ケーキ屋さんは小さな女の子に気がつきます。その子はケーキが買えなかったのです。泣き出してしまった女の子にケーキ屋さんはいいことを思いつきます。それはね…。
とっても素敵なクリスマスの夜を迎えたケーキ屋さんとクロ。あの女の子も楽しいクリスマスを迎えているのかな?
女の子とケーキ屋さん、そしてサンタさん。クリスマス・イブにそれぞれの心がどこかで少しずつ触れ合うことで生まれる物語を、刺繍という表現で素朴に、そして愛らしく描いた小さなクリスマス絵本です。(99個のクリスマスケーキが並ぶ場面は圧巻!)特筆すべきは、この絵本が実は3冊で一つの物語が出来上がっているということ。それぞれの視点から味わえる3冊、『あっちゃんとゆびにんぎょう』『サンタさんのいちにち』と合わせて読んでみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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