子ブタは、とってもかわいらしくて、愛らしいから、大きくならないミニブタを、ペットにしている人もいるよ。でも、ブタってあだ名されるのは、あんまりうれしくないよね。それって、どうしてなんだろう? きたない感じがするからかな? むかしから、ブタは人間にとって、飼って食べるのに、とても便利な家畜だったんだ、だから、いつも身近に、だいじに飼われてきたんだよ。そんなブタと人間の長いつきあいを、きみもブタを育てて、考えてみよう!
2003年刊行。長年、畜産業にかかわってきた筆者が、人とブタとのかかわりの歴史や、日本の養豚業、小規模でブタを飼育する方法、豚肉の保存食や料理などについて教えてくれる絵本。
「わたしたちの食べものとなってくれるブタに、生きている間はいちばんよい環境で生活してもらえるようにと考え、くふうすることがわたしの仕事でした」
と、後書きにあるように、この本は真摯な気持ちで、生き物のことや、命のこと、食べ物がどうやってつくられているかを、子どもたちが素直な気持ちで受け入れられるように書かれている。
畜産業は動物を育てて、大きくなったら殺して食べものとして提供する仕事だ。動物好きな人にはいささか衝撃的な場面も含まれるが、殺さないと食べられない事実を受け止めなければならない。
(食肉センターに連れていかれる場面はあるが、残酷な描写はないので安心して読ませられると思う)
食べ物は動物でも植物でも、「命」をいただいていると、わかる。
動物を食べない人であっても、植物の命はいただくわけだし、植物を殺さないで食べているという人でも、植物だって自分の体の一部を取られているわけだから、私は「ほかの生き物を殺さないで人間が生きる」のは、原則的に無理だと思う。
だから食べ物は大事に食べて、おいしくいただき、食べた自分は幸せになって、人の役に立ったり、周りを明るくする存在にならなければと思う。
そういう話は、大人が説教するよりも、こういう絵本や漫画など、子どもが受け取りやすい形でなるべく早めに理解してもらった方がいいと思う。
もちろん年齢制限はないので、大人もぜひ読んでみてほしい。
肉は太るから残すとか、安く大量に買った後に賞味期限切れで大量廃棄するとかいう、勿体ない行動がなくなると思う。
でも、その前に、ブタは「食べ物」ではなく、ちゃんと尊厳をもって扱われるべき「生き物」なのだとわかってほしい。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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