食用油の材料、性質、作り方、実際に作ってみる方法、使い方などを紹介する絵本。巻末にはより詳しい文章も載っており、大人が読んでも充実の内容。江戸時代風の猫の絵が楽しい雰囲気だ。
小さなジャッキを使って、小型の油絞り機を自作し、原材料のゴマなどから家庭で自分で油を絞る方法が紹介されている。小学生だったら、自由研究に面白い題材だと思うが、これが思った以上に大変!
菜種油なら、なたねの実を炒り、ミルで挽いて、水を加えてから電子レンジで加熱。そうして下処理してからやっと油を絞ることが出来る。
固い殻を持つ種だと、それを割って中身を取り出す作業もある。
しかも、頑張って油を絞っても、この本で紹介している装置では原料の5〜10%くらいしかとれない。100gのなたねから、5g〜10g。90%以上がカスになる。(カスは、肥料などに利用できるが)
昔は油が高価だった、というのも納得。
今は技術が発達したり、原材料を輸入などで安く手に入れたりするなどして、ずいぶん安い油もあるが、本来は「貴重で高価なもの」だから、揚げ物なんかは月に1〜2回程度だったらしい。
そのくらいが、実は人間の体には丁度いいのだと思う。
オリーブ油の作り方や、ラードの作り方などもわかって、面白い。
廃油を利用したろうそくや、油のあんどん、手作りコンロなどもあって、非常時にも活用できる知恵かも。
身近なものだけに、意外と知っているつもりになっているだけで、知らないことだらけだったことがわかる。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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