表紙からは想像できない深くて重いお話でした。
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争をテーマにしたお話。
通りすがりで息絶えた老人の犬と共に暮らすことになった少年でしたが、紛争の中で家族が離散してしまいます。
一人家に残った父、一緒に疎開する途中を襲われ母と離ればなれになった少年。
少年は一人の老人に助けられ、老人の娘の家にたどり着きます。
最後、少年と犬が座り込んで道を眺めるシーンが印象的。
家族で再び暮らせる日々が来るのでしょうか。」
『ぼくの犬』が『みんなの犬』になる日が来るのでしょうか。
この作品が衝撃的だったのは、違う民族、違う収容を崇拝する人たちが暮らす国のもろさです。
友人だと思っていた人が紛争の中で、民族の違いによって敵対していくこと。
同じ国民が敵味方に分かれて血を流すまでの闘いになること。
単純に戦争の悲惨さでは語れない複雑さを、どのように子どもたちに伝えていければ良いのでしょうか。
せめて、この少年と犬がしあわせになれるように、子どもたちがそう願えれば良いと思いました。
ついでながら、このお話の作家ジョン・ヘファナントとこの紛争の関係、どのようにしてこの話が書かれたか、解説があるとありがたかったです。
経験としての話なのか、取材報告としての話なのか、フィクションなのか…。
テーマがテーマなだけに、読み手としての史実、事実の認識についてすり合わせが必要と感じました。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子14歳)
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