アイスランドの子どもの本で小さなお姫さまディンマリンの物語ほど、何十年もの間、読みつがれているものは、ほかにないでしょう。
子どもの夢というのか願いの一つに、大きくなったらいい子になるという思いがあるような気がします。
昔話の中でも優しくて気立てのよい子は幸せになります。
児童書の中でも、いいことをしているつもりなのに、なぜか違った方向に行くという子どもたちがたくさん出てきますが、その子たちもいい子になりたいという思いはあります。
この絵本の中にディンマリンがどんなに優しくて素直かということが繰り返し出てきます。
それで思い出したのは、子どもの頃、私も優しいいい子になりたいと願っていたこと。
どんな子どもも善なる方へ向かって成長しようとする資質を持っていて、環境によってはそれが発揮できないこともあるかもしれませんが。
生まれてきた時にはどんな子もいい子なんですよね。
それならば、育つ家庭では、優しく美しい言葉をかけて育ててあげられたらと思うのです。
絵本や児童書の中には、必ず子どもたちが健やかに育ちますようにという願いがあると思います。
そんなことを感じながら読んだ本でした。
アイルランドで何十年も読み継がれているお話だそうです。
奇をてらったようなところはなく、ディンマリンの性質そのままに優しく素直なお話であることが、長く読み継がれてきた由縁なのかもしれないと思いました。
読みながら、小さな女の子だった時の自分にタイムスリップしたような気持ちになりました。
そして、同じ出版社から出ている『みにくいおひめさま』や『しろいまゆげのトラ』に出てくる女の子のことも連想しました。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子9歳)
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