もし、魔法が使えて何かにへんしんできるとしたら、そしてそれが最後の魔法だとしたら…、何になりますか?何になりたい?
深い森の奥にたった1人で住んでいるという魔女のおばあさんは、年を取って魔法の力が少なくなっていることに気づき、「いまのうちに、なにかいいものにへんしんしなければ……。」と一生懸命考えます。ほこりたかいおばあさんは、最後の魔法でなんとか『いいもの』になろうと頑張りますが、これがいい!と思ってへんしんしても失敗ばかり。なかなかうまくいきません。そこで『いいもの』を探しに町へ向かったおばあさんの前に現われたのは、小さな男の子。ずっと1人ぼっちだったおばあさんは、男の子がかけてくれた優しい言葉に心を動かされるのでした。
人から優しくしてもらうとその優しい気持ちはつながっていくんだなあと、読み終わった後、心がポカポカ温かくなってきます。『いいもの』って、誰かに褒められようとか、自分がいい思いをしようと思っているうちは、なかなかなれないものなのかもしれませんね。最後におばあさんがへんしんした『いいもの』とは、結局誰にとってのものだったのでしょうか。
1999年の発行以来、たくさんの子ども達に読まれ愛されているこちらのお話は、まだ読み物に慣れていない子ども達でも、表紙を開いた時に現われる大きくて読みやすい文字と楽しそうなさし絵を見たら、すぐに読みたくなってしまうことでしょう。絵本から読み物への橋渡しにもぴったり。魔女のおばあさんのその後のお話が知りたくなったら、続編の「すてきなまじょものがたり」シリーズも続けて読んでみて下さいね。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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