ヒトラー政権下のドイツ,人々は徐々に反ユダヤの嵐にまきこまれていった,子どもたちさえも…その時代に生き,そして死んでいったユダヤ少年フリードリヒの悲劇の日々を克明に描く.
第1刷が1977年となっています。
私の記憶では、自分が小学校の頃図書室にあったような気がします。
だから、タイトルだけはずいぶん前から知っていましたが、子どもが読みたいというので、今回図書館から借りてくるまで、自分からは一度も読んだことがありませんでした。
ドイツに興味がなくても、戦争の話やヒトラー政権に興味がなくても、
本が好きな方は、ぜひ一度は読んでほしい作品だと思いました。
主人公の「ぼく」と、一週間しか誕生日が変わらない幼馴染フリードリヒ。
貧しい暮らしの中でも、同じものを見て、一緒に遊んで、一緒に成長してきた「ぼくと」フリードリヒの大きな違いは、
フリードリヒがユダヤ人の子どもだったこと!
他のユダヤ人の物語や、ヒトラー政権で虐げられた人たちの話は、その本人が主人公であることが多いですが、
この作品は、ユダヤ人の友だちを持っているけれど、彼がユダヤ人であらろうとなかろうと、なんの偏見も持っていない「ぼく」の目線で、見た事・感じたことが語られていきます。
1章1章は日付のタイトルになっていて、
ヒトラー政権のユダヤ人に対しての弾圧が日々厳しくなっていくのがわかります。
結局、「ぼく」とその家族は、フリードリヒと、フリードリヒの両親を大切な友人と思っているにもかかわらず、本当の意味で救ってやることはできませんでしたが、
『なにかをしてあげる』のでなく、『《ユダヤ人だから》という偏見の目で見ることなく、普通に接していた』ことが、フリードリヒたちにとってありがたかったのではないかな〜と、思いました。
苦くて、悲しいお話ですが、時代が古い物語にしては、違和感なくしっかりと伝わってくるよい作品なので(もちろん名作の1冊)、
ぜひ手にしてほしい1冊です。
特に「ぼく」や、フリードリヒと同じくらいの年齢の子どもたち小学校高学年くらいから、高校生くらいの子に読んでほしいです。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子15歳、女の子10歳)
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