スペインのある牧場で暮らす牛のフェルジナンドは、小さな頃から花が大好き。他の牛たちはマドリードの闘牛場で勇敢に闘うことを夢見ているのに、フェルジナンドだけはひとり花の匂いを静かにかいでいました。 そんなある日、闘牛を探しに牛買いたちがやってきたときのこと。フェルジナンドはいつものように木の下でのんびり花の匂いを楽しんでいましたが、偶然、お尻を蜂に刺されて大暴れ。この光景を見た牛買いたちは勇ましい牛を見つけたと大喜びし、フェルジナンドをマドリードの闘牛場へと連れて行きます。闘牛場の観客席には、芳しい花をつけた女の人がたくさんいました…。
勇ましく闘うことが望まれる中で、ひとりやさしく花を楽しむフェルジナンド。偶然から生まれた出来事がフェルジナンドを別の世界へと導きましたが、そんな状況下でもフェルジナンドは自分のままでした。いろいろな解釈が読み手に委ねられます。 この本は1936年に出て、たちまち大評判に。時はスペイン内戦(1936−1936)真っ只中で、闘わないフェルジナンドはいろいろ政治的に解釈されたりしたそうです。これに対し作者のリーフは「フェルジナンドが花の匂いをかいで闘わないのは、よい趣味を持ち、またすぐれた個性に恵まれていたからだ」(本書解説より)。 イラストは黒一色のペン画と地味ですが、牛たちの表情、スペインの田園風景、闘牛場の様子など、興味深い場面はたくさん登場します。フェルジナンドをやさしく見守る母親も忘れてはならない存在でしょう。 ――(ブラウンあすか ;絵本ナビ オフィシャルライター)
むかしスペインの国に,花のすきなフェルジナンドという子牛がいました.ある日,5人の見知らぬ男がやってきて,フェルジナンドをマドリードの闘牛場へ連れていきました.
★『はなのすきなうし』がお好きな方は「りこうすぎた王子」もおすすめです! ロバート・ローソンによる挿絵がみごとです。
とうぎゅうって、なんでみんなおもしろいって思うんだろう?
とうぎゅうって、せんそうみたいなものだって、わたしは思う。
それなのに、みんなよろこんで見ている。
牛には、今からころされるってことがわからない。
わたしは、けんかをするのも、たたかうのもすきじゃないから、フェ
ルジナンドとにている。
でも、フェルジナンドいがいの牛たちは、マドリードのとうぎゅうで、
はなばなしくたたかってみたいというのがゆめだなんて、ふしぎに思う。
わたしは、花が大すき。
花を見ていると、とてもしあわせな気もちになれる。
フェルジナンドも、きっとそんなふうに思っていたんじゃないかな。
とう牛じょうにつれていかれてしまったフェルジナンドは、コルクの木も花も見れなくて、本とうにかなしかっただろうな、と思う。
わたしは、どうぶつの心もたいせつにできる人になりたい。
(天使のケーキちゃんさん 10代以下・その他の方 )
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