
何も知らず散歩を楽しむめんどりと、あとを追うきつねが織りなす、スリルあるドラマを“絵で語る”異色の絵本。


【辰野町立図書館 吉澤さん】 めんどりのロージーが夕食前の散歩にでかけます。あとをつけるのはキツネ。キツネの存在を歯牙にもかけないロージーと、散々な目に会って退散するキツネの対比がユーモラス。キツネについてはひとことも触れられていませんが、絵が存分に語っています。じっくり絵を読んでいくと、いろいろな音が聞こえてきます。私は、このキツネ、オスとみました。だって、ひとことで言って単純。それに対して、巣に帰っていくめんどりロージーの堂々とした姿に「女は強し」を再認識します。

舞台は秋で、全体が実りの色で描かれています。そんな中をめんどりがゆうゆうと散歩しています。めんどりを狙ったきつねは痛い目にあうのですが・・・。
文章は少なめですが、細部まで丁寧に描かれていて、何度見ても新しい発見があります。私は特にたわわにりんごや梨の実をつけた木が気に入っています。
ただ、息子には少し言葉を補ってやらないといけませんでした。読むというより、一緒に絵を見ながら話をしました。
ところでこの絵本は、たまたま『ぼくじょうのくまさん』という絵本と一緒に借りてきました。『ぼくじょうのくまさん』では、くまさんが夕方、きつねに食べられないように、にわとりを小屋に入れるという場面があるのですが、それと関連づけて楽しみました。ヨーロッパではきつねがいつもにわとりを狙っているというイメージなんでしょうか。
一方で『もりのともだち』『きつねとうさぎ』『うさぎとおんどりときつね』などに描かれているきつねは、力でうさぎを困らせていますが、おんどりの一声で逃げ出すという設定になっています。
日本の絵本ではきつねはまた違ったイメージで描かれているのもおもしろいですね。 (さみはさみさん 30代・ママ 男の子2歳)
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