こんな上質なユーモア絵本で出会ってしまうと、読みながら「ニヤニヤ」が止まらなくなってしまうんです、嬉しくて。 明らかに敵同士の猫とねずみが、深い穴の中に落っこちて困り果てているんですよ! 深い穴という舞台、山猫と野ねずみという組み合わせ、そして敵同士なのに知恵を絞りあう・・・。 木村裕一さんの新作と言う事もあり、この設定には期待せずにいられませんね。 そして、更に期待感を盛り上げてくれるのが、高畠純さんの絵。 深い穴を表現すべく、縦長の判型になっているのもワクワクしますが、何と言っても、敵同士の山猫と野ねずみが困り果てていたり、真剣に話し合いをしている時の表情!!思い出すだけで、またニヤニヤしてしまいます。 そして、いよいよ最初からちゃんと読んでみると・・・。続きは皆さん、直接どうぞ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
深い穴に落ちてしまった敵同士の野ねずみと山猫は、穴から出る方法を考えます。愉快なストーリーで、たっぷり楽しめる絵です。穴の深さが細長い縦の判型で表現されています。
全編縦に開く、というので新鮮かしらと思って、3年生のクラスで読み聞かせしてみました。
縦でも、重くないので、問題なくページを送りながら読めました。
場面はほとんど暗い穴の中でのやり取りで、
2匹のやまねこの、青と黄色がよく映えています。
2匹の猫と3匹のねずみが、みんなで肩車のように重なって深い穴から出る方法を、
「やまねこの上にねずみ、その上に…・・」
「それだと逃げられちゃう」
「それだと食べられちゃう」
…と夢中で順番を話し合っているうちに、
大雨が降ってきて、穴に水があふれていつのまにか脱出できちゃいます。
…オチは、出られたことにも気付かず仲良く話し続けていましたとさ、
ということなのです。
オチまでの間に、3年生たちは、ひそひそ声で、
前半ではやまねこたちと一緒になって穴から出る方法を考え、
後半では「あれ?もしかして…」と、結末を予想し始めました。
決して長くないお話ですが、ゆっくり読み進めて、
動物たちと一緒に悩ませてあげると、
より楽しめるようでした♪
3年生の反応は上々でした。
水があふれたことによって出られた、ということを
ちゃんと理解できる2年生くらいから、この本の面白さを本当に分かるのかもしれません。 (しーざうるすさん 40代・ママ 女の子7歳)
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