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この絵本は、英国人ヘレン・バナマンによる名作「ちびくろサンボ」の改作版です。原作は今から約100年前、英国植民地だったインドで執筆されました。近年、同作品で指摘された差別問題は、原作に使われた名称「サンボ」が差別用語であること、イラストにステレオタイプ化された黒人像が用いられていることなどが理由で、日本と同様、米国でも出版禁止になりました。
しかし、物語自体はとてもおもしろく子供たちに人気のある作品であったことから、森まりもさんが原作「ちびくろサンボ」を「チビクロさんぽ」に改作。登場人物を原住民の男の子一家から黒い子犬チビクロ一家に置きかえて物語を展開させました。つまり、子犬のチビクロがお散歩に出かけ、とらさんたちに出会うわけです。差別用語を使用せずストーリーラインはそのままで、見事におもしろい物語が新生し、この工夫にはとにかく脱帽! 文句なしに楽しめます。お父さんの名前が「パパクロ」、お母さんの名前が「ママクロ」…、もうこの時点は息子は笑い始め、絵本の世界に浸り始めます。差別性のない絵本、これは誰にとっても大切な基準でしょう。原作に関しては、彼がもう少し大きくなったら、その歴史的背景についても合わせて話し、他社から出版されている原作復刻版を見せてあげようと思います。
イラストはデジタルっぽいコンピュータ画像。これがまた、おもしろいと思いませんか。巻末に改作者による紀要転載の小冊子が付いています。 (ムースさん 30代・ママ 男の子8歳、女の子3歳)
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