
主人公はカブト虫の兄妹、カブト、カブノスケ、カブロク、カーコ、カブキチ。卵から幼虫、成虫と無事に育った5匹は、それぞれ林の中に飛び立っていく。そこでまず待っていたのは、樹液を巡る虫同士の争い。心も体も傷ついたカブトたちだったが、蝶の「ひら子」や蛇の「長太」らさまざまな仲間と関わりあううちに、本当は昆虫の王者よりも、心の優しいチャンピオンになりたいのだと気づく。本当の幸せとは、成功とは何か。殺伐とした現代だからこそ、多くの年代におすすめしたい童話。三重県松坂市の言葉で書かれた会話文が大変味わい深い。
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