お父さんと二人で暮らすハナはゴリラが大好き。ゴリラの本を読んで、ゴリラのテレビを見て、ゴリラの絵もたくさん描いた。でも、ハナはまだ一度も本物のゴリラを見たことがない。お父さんは忙しくて、ハナを動物園に連れて行ってくれるひまがないんだって。でも、ハナのお誕生日の前の晩、ハナは胸をドキドキさせながらベッドに入った。ちゃんとお父さんにお願いしたものね、プレゼントはゴリラにしてって。するとその晩、とても不思議なことがおこったの…。
父親と二人暮らしの少女の淋しげな素振りと、彼女が出会ったゴリラとのふれあいが印象に残る作品。ハナのゴリラ好きは、壁の絵、電気スタンドの模様など部屋のいたるところに現れ、お誕生日の前の晩の素敵な出会いを予期させます。夢なのか空想なのか、いずれにしても大好きなゴリラと一緒に不思議な時間を過ごすハナ。精巧でリアリスティックな絵が、楽しい一晩をユーモラスに物語ります。そして、そのすべてが翌朝の父親の一言への序章であったこと…。最終ページの余韻は、子供たち皆が共有できる気持ちでもあります。1984年ケイト・グリーナウェイ賞受賞作品。 ――(ブラウンあすか ;絵本ナビ オフィシャルライター)
ハナはゴリラがだいすき。いつも忙しいお父さんは動物園にもつれていってくれない。でも誕生日の真夜中ふしぎな事が……。
父親と二人暮しのハナ。お父さんは仕事に忙しくて、ハナはなかなか一緒に遊んでもらえません。「えー、本物のゴリラ見たこと無いの?」とここを接点に息子はハナの気持ちを理解したようです。「動物園に連れて行ってもらえないの、可愛そうだね…」。
お父さんの後ろ姿を見つめるハナの淋しそうな視線がつらいけれど、読者もハナも最後のページで救われます。子供の心がうまく表現された作品。うちの宝物絵本の一冊です。 (ムースさん 30代・ママ 男の子8歳、女の子3歳)
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