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魔法の国にあきて、人間の世界でくらしはじめた魔法のおばあさん。動物たちといっしょに、むぎをそだてて、こむぎをつくり、かまもつくり、おいしいパンをやきました。ほっぺたがこぼれおちそうな、おいしいパンは大人気!王様さまがひらく「パン・コンクール」に出ることにしました。「パン・コンクール」の日、みんなウキウキして結果を待ちますが・・・・・・
200年間、魔女の国に住んだ魔女が“あきた”ので他のところに住みたい
と大魔女に願い出て、その場所に運んで行ったら100年は動かないという箒で、
普通の世界に引っ越して、普通のおばあさんとして暮らします。
そして、何故か、2匹の犬と2匹の山羊とニワトリと、もともと魔女の国から
一緒だったフクロウとの生活を始め、ある日、ニワトリの「おいしいパンが
食べたい」というつぶやきから、パン作りをみんなで決心をし.... という話です。
実に面白い話でテンポもよく、ところどころのユーモアもとても
スパイスになっていて、大変気に入りました。
200年も住んでいるのに、「あきっぽい」まじょだなんて、ありえないでしょう!
そして、また一度、魔女の国を出たら、100年は戻って来れないなんて!
実にスケールの大きい話です。
そして、なんと単位の大きいこと! 一桁違うのでは?!
(そんな小さな笑いが沢山ちりばめられている絵本です。)
しかも、おいしいパンを食べたいからと一致団結して、みんなで小麦の種をまく
ところから始めるんですよ! そして、収穫したら、今度は土と藁でかまどまで
作って、パンを作るけれど初めてのパンは失敗してしまい、そこから、精進して、
誰もが絶賛するパンになるまで根気よく作るんですから、
このまじょが、あきっぽいことはありえません!
この絵本の中で一番好きな場面は、
「みんなのみみには おばあさんたちのパンが ゆうしょうしている
といってるようにも きこえます。」
の一文です。
「いってるようにも」の“も”に、実に、飄々とした感じがして、センスの良さを
感じました。
最初に一緒に住むのが何故犬と山羊とニワトリ?と思いましたが、
本の最後の作者紹介のところで、作者:うえつじさん御自身がこれらの動物達と
暮らしているのですね。解決しました。
このまじょさんは、本当は、うえつじさん御自身なのかもしれませんね。
そして、動物たちは、仲間?!
絵と話のテンポがとてもマッチしていて、絶対に飽きさせない話でした。
絵のタッチがスズキコージさんを思い出させ、女スズキコージという感じで、
彼女の独特な世界をこれからも世に出していって欲しい作家さんです。
今回は、1回立ち読みコーナーで読みましたが、実際の本を手に取りたいと
思いました。お奨めです。是非、読んでみてください。 (汐見台3丁目さん 40代・ママ 男の子5歳)
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