ひとりで暮らす五助じいさんに、ある年の夏、急に友だちができたのでした。それは小さなキツネの子。どこかから迷い込んできたのでしょうか、いつの間にか五助じいさんの小屋に居つくようになったのです。コンコンと名付け、かわいがり、どこへ行くのも一緒。そのうちに、二人は会話ができるようなります。コンコンは、だんだんと五助じいさんにそっくりになっていきます。
「どうも、まずいよこれは。だんだんキツネらしくなくなってくるよ……」
そんなある夜。家の前を通りかかったキツネの群に、コンコンは化け方を習うことになります。偉いお役人さんに上手に化けるキツネたちをよそに、コンコンはどうしても湯たんぽにしか化けられません。そして、そのまま彼らは町へと出かけていくのですが、そこで思わぬ出来事が起こるのです……。
優しい五助じいさんと素直で可愛らしいコンコン。二人のやり取りはのんびりほのぼの、それでいてどこか滑稽で。いつの間に物語にひきこまれていくのです。あり得そうであり得ない、想像がつきそうで驚かされる最後の展開。馬場のぼるさんの魅力がたっぷり詰まったこの絵本。面白いお話というのは、いつまでも色褪せることがないですよね。嬉しい復刊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む