人を憎み、人を避けて生きてきた男が、忘れていた人間らしい温かな心を取り戻していく・・・。味わい深い絵とともに深い感動に誘う絵本です。
武田鉄矢が絵本を手掛けているということに驚いたのですが、読んでみて納得。
まさに金八先生が教室で語っているようなお話です。
とことんダメなオヤジとできの良い息子の二人暮らし。
息子の稼いだわずかな金を、親父は酒に変えてしまいます。
そんな息子が病気になって医者に連れて行く途中、クリスマスツリーに感激して元気を取り戻したように見えた息子に、オヤジはクスリ用の金をやっぱり酒に変えてしまいました。
なんという親でしょう。
無一文のオヤジにはクスリは手に入りません。
人からここまで嫌われてしまったオヤジ。
オヤジは、せめて息子が元気になるようにと盗んだクリスマスツリーで捕まえてしまいます。
家に帰った夜、息子は死んでしまいます。
なんとも金八的誇張と、道徳観念と、硬派のお話です。
なんで「夏のクリスマスツリー」なのかは、絵本を読むしかないでしょう。
夏のクリスマスツリーはなんとも幻想的で、息子の命を象徴しているようでした。
仏教の教えを借りたお話。
親のためにも子どものためにもお薦めです。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子14歳)
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