父さんとデパートでお買い物。ところが、ぼくがおもちゃを研究している間に…父さんが迷子になった!?
大変、探しに行かないと。
「なんだ、いた いた、あのせびろ……」
柱のかげに見えるのは、背広を着て帽子をかぶった人。さっそく見つけたと思って、柱をまわってみると…あれ!? 違う! 父さんじゃない。父さんよりもちょっと立派すぎる。
「あっちに いた いた、あのぼうし……」
あれ、全然違う。今度はだいぶオシャレすぎ。今度こそ、あの靴は。いやいや、あのネクタイは!……いったい父さんはどこにいったの?
男の子が迷子になった父さんをデパート中探しまわるこのお話。父さんの着ていたスーツや帽子はしっかり覚えているはずなのに、やっと見つけたと思ったのに、みんな知らない人。実際にあったら大変な出来事です。ところがこの絵本の一番の面白さは、この間違いにあるのです! デパートの売り場の柱やショーケースやピアノの下など、ページの中の場面の一部分が切りおとしのしかけになっていて、チラッと見えている父さんらしい小物を手掛かりにページをめくってみると、全然違う人が登場する、というわけなのです。その巧みなしかけには、大人だって驚いちゃうほど。最後のエスカレーターのシーンなんて……。しかけは絵、だけとは限らないようです!?
何年経っても色褪せないかっこ良さのある「五味太郎 しかけ絵本」シリーズの第2作目。作者が絵本に対して本気で遊んでいる様子が伝わってきます。『きいろいのはちょうちょ』『まどから おくりもの』と合わせてどうぞ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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