「みにくいおひめさま」。なんてインパクトのある題名でしょう。
ある遠い王国のひとりっ子の王女、エスメラルダ。
彼女、それはそれは贅沢なお姫様の暮しをしていたのです。
お金持ちで力のある王さま、優しく愛情深いお妃さま。
そして、うつくしいドレスの数々、銀のかごのついた素敵な自転車、赤と白のくらがついた自分の子馬・・・。
次から次へと登場する夢のような小物の数々に、大人の私でもうっとりしてしまいます。
ところが。たったひとつ足りないもの・・・エスメラルダは美しくなかったのです。
強烈な一文にショックを受けると共に、このお話の行く先に釘付けになってしまいます。
美しくないとはどういうことなのでしょう。
そして、エスメラルダを魔法で美しく変えてみせるという女の人とは?
女の子にとっては永遠のテーマでもあるこのお話の内容。
でも、それ以上に読み応えのある心温まるおとぎ話なのです。
子ども達は、エスメラルダが過ごすグッドウィット夫人の家での毎日を、
前半のお城での暮らしぶりに負けないくらい夢中になって読む事でしょう。
そして「ももいろのきりん」でも御馴染み、中川宗弥の美しい挿絵と合わせて
心に残る忘れられない一冊になるのではないでしょうか。
嬉しい復刊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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