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時は戦国時代、瀬戸内海に浮かぶ大三島を拠点とする三島水軍の総領の美しい娘、つる姫。しかし時代の波は、つる姫をも容赦なく巻き込んでいく。女の身ながらつる姫が出陣する日が来た。相手は圧倒的な大軍を擁する周防の大内家。苦戦する村上水軍から相手の大将船にむかって、つる姫の最愛の許婚、明成が漕ぐ爆薬を積んだ火舟が矢のようにつっこんでいく…。史実をもとに描かれた一大ロマン。カラー挿絵を生かした待望の復刊です。
戦国時代の物語だということを、忘れてしまうくらいの姫と若武者の淡い恋愛物語に、最後の落とし穴は衝撃でした。
平和な時代に培われた幸せは、戦の中ではあまりに脆いのです。
フィクションなのに、今の時代に重ね合わせてしまいました。
婚礼を目前に戦いに散らねばならなかった明成は、あまりに哀れです。
守られたつるは、城主としてこれからの時代をどのように生きるのでしょうか。
一人で婚礼衣装を着たつる姫の、ラストシーンが鮮烈です。
ところで、この物語10代の若者たちの物語として描かれていることには脅威を感じました。
昔は様々なことが早送りだったのでしょうか。
(ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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