文庫で最初に読み、児童書で息子と読んでみました。
「冬吉と熊のものがたり」が新婚夫婦を描いたものなら、この作品に描かれているのは熟年夫婦。
そしてこの作品もやはりアンデルセンの「雪の女王」に似たものを感じました。
おかみさんは、お金のことしか言わず、帽子屋は帽子作りにしか興味はありません。
ファンタジー作品なのですが、安房直子の作品には現実的なことも盛り込まれていてそれにドキッとすることがあります。
おかみさんの愚痴がそうでした。
現実が嫌になり、ただひたすらに自分の好きなことをして過ごしたいというのは、人間の願望としてあると思います。
そして、それが達成されると、それは果たして幸せなことなのか?を考えました。
安房作品では、よく「憧れ」の気持ちが描かれます。「憧れ」の果てとは?についても思いました。
憧れている時間が楽しくても、達成されてしまえば、案外つまらないものなのかもしれないと思いました。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子7歳)
|