「上手じゃないから描きたくない・・・」
絵を描く事が大好きだったはずなのに、誰かの心無い一言で
途端に苦手になってしまう子、自由に描けなくなってしまう子。
私達大人が思っている以上にたくさんいるのだと思います。
題名の「っぽい」というのは、原題の“ish”「・・・のような」「・・・みたい」という意味を
訳者のなかがわちひろさんが否定的なニュアンスになってしまう事を恐れずに
「『こうでなければならない』というもの以外のすべて」と考え、訳された言葉だそうです。
言葉じりだけを取ってしまうと、「っぽい」絵について色々議論に走ってしまいそうですが、
何より大切なのは「じぶんのために絵を描く」「じぶんの声に耳をかたむけること」ができるかどうか。
つまり、絵を描く事で自由な気持ちを味わえるかどうかなのではないでしょうか。
そして一度その感覚を味わった子は、大人になるまでずっと忘れないはずなのです。
子ども達の創造力をさまたげる権利は、誰の手にもないはずですよね。
当たり前の事ですが、大人はもう一度胸に手を当てて自らを省みるべきなのかもしれません。
子ども達がせまい価値観に縛られる事なく、素晴らしい世界を知る事が出来ますように。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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絵をかくことがだいすきな男の子ラモン。
でも、ある日、ラモンは、自分がかいた絵がなにを描いたものかわからないと笑われてから、
思いのままに絵を描けなくなる。なんとか「正しい」絵をかこうとするのだけれど、
うまくかけなくて、ついには絵をかくことをやめてしまう。けれど、そんなラモンの絵を、
「なにかがちゃんと伝わってくる」から好きだといってくれる妹のおかげで、
「正しい」絵を描く必要などないことに気づき、また自分の思うまま、自由に絵や文章をかいて
いけるようになる。世の中に「正解」があることなど少ないのだし、「ものほとはかくあるべき」という価値観にこだわることはないという普遍的なメッセージを、人気作家レイノルズが、
子どもたちにやさしく語りかける。大人のせまい価値観にとらわれることなく
子どもを見てあげてほしいという、親に向けてのメッセージ絵本でもある。
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