70年も前にアメリカで出版されていたロイス・レンスキーの絵本。最近新刊として続々登場しています。
30年前に福音館書店から白黒版で出ていた「スモールさん」シリーズが新たにカラーになって全部で6冊登場です。スモールさんがじどうしゃにのってドライブへでかけたり、ヨットにのったり、飛行機に乗ったり。そして今度はカウボーイになったり、おまわりさんになったり!途中でちょっとしたトラブルに見舞われますが冷静に対処するスモールさんがちょっと面白いです。乗り物好きな子にはたまらないシリーズです。
レンスキーの絵本の魅力はもちろんこのぷくっとした可愛い人物やセンスのいい乗り物などのデザインや絵が人気。でもそれだけじゃこんなに愛され続けないはず。よく読んでもっと魅力の秘密を考えてみると・・・。とにかく文章はどれもとてもシンプルです。スモールさんシリーズは乗り物に乗って出掛ける様子を丁寧に順を追って淡々と進んでいきます。余計な感情や言葉は入ってきません。それは読む子供にとってはダイレクトに乗り物の魅力が伝わってとてもどきどきする仕掛けになっていると思います。そしてトラブルにあっても慌てず話が進んでいき、最後までいく流れがとっても気持ちいいのです。繰り返し読みたくなってしまいます。そして、「はるがきた」の方も、可愛いらしい印象的な絵に一言づつ言葉が乗っているだけのシンプルさ。こちらはそれを読み上げていくだけで春の気持ちのいい風が浮かんできます。最終的に子供達の頭の中には春の楽しい場面が映像と感覚で残っていく、という絵本なのでしょう。絵と文がどれも丁寧で優しい、レンスキーさんの人柄が伝わってくる様な絵本たちです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む