「母さんをつれてこよう。でないと、ディネオは死んじゃう!」赤ん坊の妹が、重い病気になった。ナレディの心に、おさない妹を思って、不安がしのびこんでくる。 「つれてくるって、どうやって?」弟のティロは面くらっている。二人の母親は、300キロもはなれたヨハネスブルクにいて、住み込みで働いているのだ。
アパルトヘイト下の南アフリカ。黒人居留区に住む姉と妹が町へ旅をするあいだに、さまざまな矛盾に遭遇する。現在の社会や人間性についても、読み手の心に強く語りかける作品。
具合の悪い赤ん坊の妹のことを、遠いヨハネスブルクで働く母に知らせようと、旅に出るナレディ。
旅の途中に出会う人たちの優しさに心温まると共に、アパルトヘイトの残酷さに胸が痛みます。
<アパルトヘイト>人種隔離政策。
学校の授業で習い、その名前と内容について知っている人は多いと思います。
けれどもその当時苦しんでいた人々の本当の気持ちを知っている人はどうでしょう?
他の国のこととなると私たちはやはり他人事になります。
この本を読み、この少女の立場になることで、当時の人たちの苦しみや怒りを感じることができると思います。
同じ過ちを繰り返さないためにも知っておきたいこと。
人の命の大切さを改めて感じることができる作品です。
(こりえ♪さん 30代・ママ 女の子2歳)
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