作者の、画家として歩み始める原点を描いた自伝絵本。戦争で故郷を追われ、過酷な暮らしを していた時期、父親の持ち帰った世界地図が少年だった作者にパン以上のものを与えた。
戦火を逃れ、着の身着のままで見知らぬ地で暮らす親子三人。
貧しく、食料も乏しい毎日。
ある日、お父さんはわずかばかりのお金を持ってパンを買いに行く。
夕方、帰ってきたお父さんはパンではなく一枚の大きな地図を買ってきた。
お腹を空かせたお母さんとぼくは、がっかりした。
なぜ、地図なのだろう?
しかし、この地図を部屋の壁に貼ると・・・
何の希望もない日々を送っていたぼくの目の前に、たくさんの色が。
そして、想像の世界が広がったのです。
ひとかけらののパンで、どれだけ空腹が満たされるでしょう。
どのくらいの活力になるでしょう。
おとうさんの地図は、ぼくに想像の世界を与え、想像は希望となりました。
そして、希望は生きる力となりました。
おとうさんは、人間にとって大切なことが何なのか、知っていたのです。
そしてぼくに与え、教えてくれました。
どんな状況にあっても、大切なものを見失わずにいる。
そんな人間でありたい。
心に残る絵本です。 (ちゅら。さん 40代・ママ 男の子12歳)
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