ある日偶々いただいてきたこの本。さて、二歳になった我が息子の喰いつき具合は?と案ずるまもなく、あっというまに愚息を虜にしてしまったこの本。その不可思議な魅力を是非手にとって感じてほしいです。
この本には、「赤とんぼ」「おおきな古時計」「どんぐりころころ」・・・と、スタンダードな日本の童謡が29曲収録されています。
といっても、CD付きとかではありません。1ページ、1ページに1曲分の歌詞が書いてあるだけの分かり易い作りです。
しかし、この本の「肝」は、その歌詞をイメージした「絵」がともにあしらわれていること。しかもそれは、イラストでも風景写真でもなく、古い和服の生地で描かれた「絵」なんです。
たとえばの話「とんぼのめがね」であれば、さまざまな色調の青い布で、とんぼと空が大胆かつシンプルに描かれています。
ちなみに、わが愚息のもっとも愛した「絵」は、黒い正方形の布とダークな茶系の三角の布(花柄)でできたお堂の右に、くすんだベージュ地に朱色の入った細い布で作られた鳥居が置かれている「通りゃんせ」。鳥居の右の柱に、こけしの涼しい両目がある。このシュールさになぜか2歳児が激しく感応する・・・。この本にはそうしたドキドキが一杯に詰まっています。夜ごと、「読んで、読んで」ならぬ「歌って、歌って」コール。
作者は、現役の大学教授(専門は数学)とか。それだけに、すべてが計算され尽くされた一冊?・・・とは、到底思えません。著者の天性のおおらかさと直感によってものされた一冊と言えましょう。 (けんけん2さん 40代・パパ 4歳)
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