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頭にお皿、背にこうら。カッパの体ってどうなっているんだろう? いたずら好きの困り者。カッパの1日ってどんなふうだったの?
民話、昔話の世界によく出てくる河童。彼らの食べ物や住まい、暮らし、子育てなどを紹介する図鑑風絵本。
水木しげる氏の妖怪漫画などでお馴染みの河童。この絵本を読む前に出会ったそれらの河童たちは人間に悪さをする者や、危険な存在として描かれているものが多かった。
しかし、この絵本で描かれている河童の世界は平和そのもの。水辺でのんきに暮している。人間を襲ったりもせず、たまに畑のきゅうりなどを少々失敬するだけで、いたって穏やか。そして、1個か2個生まれる卵を孵し、愛情深く丁寧に子育てする姿が印象的だった。
水辺がどんどん人間によって変えられてしまい(ダムの建設、河川の護岸工事、農業用水路の整備など)、のんきに河童が暮していかれる自然がなくなったことが絶滅の理由だと、巻末に書かれてあった。
生活排水や工業排水などによる水の汚染など、人間の暮らしが便利に、楽になっていくにつれて、生活が脅かされていく河童。
人間がもし逆の立場で、たとえば宇宙人や外国によって侵略されたり、毒ガスをまかれたり、勝手に自宅を破壊されて住んでいる場所から追い出されたりしたら…そんなことを考えて、悲しくなった。
これは河童の話だが、河童を動物や植物に置き換えて考えて欲しい、というメッセージなのだろう。人間も便利で、水も環境も汚さず、あらゆる生き物が幸せになれる仕組みが早く出来て欲しい。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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