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「このぼうしに、にあういしょうは、ありますか?」
前からきになっていた帽子。店の主人がその帽子にぴったりの服を棚から下ろしてミスター・ベンに見せました。箱の中味はカーキ色の服。早速ためしてみると、なかなかよい感じです。もう片方の扉を開き外にでると、テントの中、まわりはジャングルです!外の男達はみんな手に手に銃をもっています。どうやらハンターたちのようです。
先日亡くなったデビッド・マッキーの作品展示で目にした絵本です。
奇しくもウクライナで行われている、ロシア軍の残虐な軍事侵攻のさなか、マッキーの「せかいでいちばんつよい国」を再読したばかりなので、この絵本も、素敵な出合いだったと思います。
不思議な衣装屋さんと、そこにあるお試し部屋で、人はなりたいと思うものになりきることができます。
夢が実現できる素晴らしい世界です。
ミスター・ベンは、衣装を着替えてハンターたちのガイド役になります。
獲物を狙うハンターたちを案内しながら、ベンは何をしたでしょう。
むやみに動物を殺すことを止めさせるのです。
そして、最終的に辿り着いた一番大きな動物ゾウに対しては、ハンターたちに狩猟の無意味さを伝えるために、大芝居を画策します。
マッキーの風刺精神と、ヒューマニズムに溢れた作品です。
モノクロとカラーのページが交差することで、インパクトを強めた作品です。
無意味殺害を、最も嫌う作家のように思えました。
ミスター・ベンの不思議なぼうけんシリーズは、イギリスBBC放送で放映されたアニメ作品を絵本化したものです。
他の巻も読んでみたいと思います。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
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