まどさんに惚れてしまった阪田さんは、メモと紙を持ってまどさんを追いかけ回したそうです。まどさんのことなら、
何でも聞きたい、みんな知りたい。追っか けですね。がまん強いまどさんも、さすがに辟易した素振りを見せるのですが、
そんなことぐらいでへこたれる阪田さんではありません。そして、ついにまどさ んのヒミツに辿り着いたのです。
たとえば「ぞうさん」の歌のこと。ぞうさんの子は、鼻がながいねと悪口を言われた時、しょげたり腹を立てたりする代りに、
一番好きな母さんも長いのよ、 と誇りをもって答えた。だからこの歌は、ぞうに生まれてうれしいぞうの歌、と
思われたがっているでしょう―とまどさんから教わります。歌が、そう思われたがっている、というまどさんの
言葉もふしぎですが、そうか、と受けとめる阪田さんも、何か大きなことに気がついた人なのでしょう。まど・みちおさんの
詩の、いちばん深いところを聞きだして、そのヒミツを惜しげもなくぜんぶ書いてくださったのがこの一冊です。
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