あじのひらきが、風に吹かれて空中を泳ぎはじめます。街へ出て、地下鉄のトンネルをくぐり、ビルの上を泳いで、ついに海へ。あじのひらきが最後に行き着いたのは……。
井上洋介さんの本を読み合う勉強会をしました。
何ゆえにあじのひらき?ということで、ハードカバーになる前の「こどものとも年少版」の折り込み付録も読んでみました。
散歩に出た井上さんが、外であじを焼く男の人を見つけ、その一部始終を見ていたことからこの作品につながったことがわかりました。
凡人である私はそこからこの絵本に発展するまでの空想力は持ち合わせていませんが、発想の一端を知ったことで、今まで??だった絵本の『あじのひらき』を見る目が少し変わった気がしました。
なんとなく「およげたいやきくん」の世界も彷彿とするようなあじのひらきの町中の遊泳。
食卓もしくは店先で見かけるだけのあじのひらきにもこんな世界があったのだという摩訶不思議な、そして楽しげな絵本でした。
私にとって、井上さんの絵本は簡単にはわかったというものは少なく、わからないがゆえにいつまでも気になるという後を引く世界なのです。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子12歳)
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