
スウェーデンの人気児童文学作家の代表シリーズ、4部作の最終作。
1945年5月、ベルリンが陥落。ついにヨーロッパの戦争は終わり、スウェーデンの港町、イェーテボリでも平和の訪れを人々は心から 喜んでいた。だがウィーンからやってきたユダヤ人姉妹ステフィとネッリには、もはや帰る家はなく、父親の安否も知れない。 異国の地で、養親や友人たちに支えられ、逆境を乗り越えて、大きく成長した二人。 ステフィは町の高校を、ネッリは島の小学校を卒業。不安な思いを抱きつつ、新しい一歩を踏みだそうとする二人の 本当の居場所は、どこにあるのだろうか?
〈ステフィとネッリの物語〉シリーズ誕生に込められた著者の思いとは??。 書き下ろしによる解題を日本版オリジナル「著者あとがき」として収載!

戦争は戦時中も地獄ですが、終わった後も人々の心と体に消せぬ傷を残します。
姉妹の母はすでに亡くなり父は行方不明となります。飛び級をしたステフィは卒業の年になり、ネッリもまた小学校卒業の年になります。
多感な時期に姉妹は違う家庭で育ち、それぞれの環境にそれぞれが順応する形で成長していきます。
生き方の選択肢が少ない時代にまた難民であり両親に頼る状況下にない二人。
二人だけでなくステフィの友人の生き方からも多くのことを感じる作品でした。
読み進むにつれて戦争の影は大きくなり、決して明るくはないお話ですが、そんな中にもある希望の一筋の光、人の優しさが明るく二人を照らす作品でもあったように思います。
戦争とは?アイデンティティとは?思春期を生きる年代の人たちにも読んでもらたい作品ですが、大人は大人で感じることの多い作品だと思いました。一度手にとっていただけたらと思います。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子12歳)
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