暗くて寒い街。雪交じりの風が吹きすさぶ中、動物たちはおひさまが再び顔をのぞかせてくれるのを心待ちにしています。「それなら、わたしがおひさまの味のする特別なパンを焼きましょう」――。犬のパン屋さんは、小麦粉、バター、お砂糖、卵、イーストを混ぜて、「本当のおひさまは隠れたままだから、わたしが小さなおひさまを作るってわけ」とはりきりました。 たっぷりした金色のきじは、こねればこねるほどつやつや、すべすべ……。それを丸く大きくしていくと、まるで腕の中に輝くおひさまを抱いているみたいです。素晴らしいパンが湯気を立ちのぼらせて焼きあがると、「パン屋さんがおひさまを作っちゃった!」とみんなが叫びました。
寒くて暗い季節、家の中では動物たちの表情までが、怒っていたり、泣いていたり、病気をしていたり、けんかをしていたり、嬉しそうではありません。そこで犬のパン屋さんがおひさまパンを作り始めると……。太陽の光、暖かさは、日常なくてはならないものですが、その素晴らしさがおひさまパン作りを通して描かれた、文字通り”暖かくて、温かい”作品です。 クレヴェンのコラージュ手法の美しいイラストはこの作品でも威力を発揮。布、包装紙、千代紙やレースペーパーなどを用い、動物たちのしぐさ、表情、街の様子、持ち物などなど細かな部分の発見が楽しい絵本となっています。ニコニコ顔の動物たちを見ていると、こちらまでハッピーな気持ちになるから不思議です。もちろんパンの作り方も紹介されていて、読後は即、パンを焼きたい衝動に駆られることでしょう。ホカホカ、フワフワのおひさまパンを、絵本と共に味わってください。 ――(ブラウンあすか)
おひさまがかくれてしまった町。寒くて暗くて、色もなくなってしまいました。「それなら私がおひさまパンを焼きましょう」とパンやさんが金色に輝くパンを焼くと・・・。
おひさまが隠れてしまい、暗く元気をなくしてしまう動物たち。読んだ後、家庭の中でのお母さんもおひさまと同じかなと思いました。お母さんが元気だと、家族も明るく元気だけれど、お母さんが病気だと心配で元気をなくしてしまう。現実の私はいつも元気でということはないですが、元気をなくした時に、この絵本を引っ張り出して元気をもらっています。細部にまでこだわった絵が素晴らしいです。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子5歳)
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