前作『魔術師ガザージ氏の庭で』に続く、少年少女向け絵本の第二作目。平凡な日常を一変させるゲームを描くことにより、現実と幻想のはざまを揺れ動くオールズバーグならではの不思議な世界を生み出しています。コンテ鉛筆で白黒の挿絵の中に影と光を表現し、豊かな色彩感覚を盛り込む技術は見事としかいいようがありません。空間の奥行きを豊かに感じることができ、読者はあたかも絵の中に引き込まれるかのような錯覚にとらわれます。細部への気の配り方も、作者の物をとらえる確かな目を感じさせます。
お話は、ピーターとジュディのスリルに満ちた、異様な冒険と共に進められます。ライオンやサイ、サルが現れ、スコールが降り、火山が爆発する……。ゲーム上の出来事が現実に起こる光景には、読者もハラハラ、ドキドキ、手に汗握ることでしょう。本作品で1982年コルデコット賞を受賞したこともうなずける大作絵本です。
――(ブラウンあすか)
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