英米では世代を超えて読み継がれている、1922年英国初版の名作。誰もが「The Velveteen Rabbit」(英語名)と聞けば幼少時代を思い起こすといわれているほど、英語圏では懐かしさの代名詞となっている作品です。うさぎのつぶやきを聞くと、おもちゃたちは毎日こんな思いで子供たちと触れ合っているのかもしれないと、ふと、視点の転換を促されます。壊れたらすぐ捨てられてしまうおもちゃ、ぼろぼろになっても大事にされるおもちゃ――。おもちゃの運命描写とともに、横柄な機会仕掛けのおもちゃたちと、はずかしがり屋で純粋なうさぎの対照的な性格描写が、人生のあり方を物語っているかのようにもとれます。
ぼうやとビロードうさぎの触れ合い、深い結びつきは、後半の展開をドラマチックに導きます。時代を感じさせる古風なイラストが清らかなうさぎの姿を気高く表し、作品全体に風格を生み出しています。
対象は、小学中学年以上。
――(ブラウンあすか)
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