やさしく素直な、若い赤おにが山に一人で住んでいました。
赤おには、鬼たちのために良いことをしたい、さらに出来ることなら人間たちの仲間になって仲良く暮らしていきたいと思っていました。そこである日赤おには、自分の家の戸口の前に、木のたてふだを立て、人間が遊びに来てくれるように誘いました。
山のふもとの村人たちは、赤おにのたてふだに興味津々ではありましたが、だましてとって喰うつもりでは、と警戒し、誰も遊びに来てくれませんでした。
赤おにの家を訪ねてきた仲間の青おには、話を聞いて赤おにに、自分がふもとの村で暴れるから自分をやっつけろ、そうすれば人間は安心して赤おにと仲良くしてくれるだろう、と提案します。
かくして、人間の家に入り込んで暴れる青おにを赤おにがやっつけ、村人たちは赤おにに心を開くようになるのですが、赤おにはそれとひきかえに、かけがえのないものを失ってしまうのです。
とても有名なおはなしで、他にも絵が違う作品が数多く出ています。
この作品では、絵本化にあたり原文を省略せずに使用しており、実に本格的な絵本に仕上がっています。
愛蔵版として本棚におかれることをおすすめします。
(金柿秀幸 絵本ナビ事務局長)
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