【磯崎ママ】 これも静かなクリスマスのお話なのですが。この小さな村では毎年教会に飾るツリーの木を順番に用意し、そこの子供がクリスマスの劇で天使の役を演じることになっています。 今年はルーシーのうちの番なのです。大きなもみの木を夏にはお父さんが見つけて赤いリボンを目印につけておくのですが、やがてお父さんは戦争に行ってしまいます。帰ると知らせは届いているのに前日になってもお父さんは帰ってきません・・・。 クーニーの絵で慎ましくも美しいクリスマスの様子が描かれているのですが、このお話には戦争が関ってきて楽しいだけでは終わりません。しかし、そこに浮かび上がってくる母のたくましさや、本当の喜びの瞬間などとても奥の深いお話となっています。大人になった今だからこそ感じることができる色々な要素がつまっているような気がします。 もちろん、天使の人形やドレスなどの小物にも反応してしまうのですが。
ルーシーの村では、毎年、村の教会に立てるクリスマスツリーを当番で選ぶことになっていました。……なつかしいクリスマスの風習と少女の胸の痛みやときめきを鮮やかに描く。
この絵本はクリスマスのお話ですが、綺麗な包装紙に包まれたプレゼントの山やご馳走、サンタクロースといった類の物は登場しません。
純粋な心を持った少女と、家族思いの父、そして留守を守る強くて優しい母の姿が美しい絵と共に描かれています。
戦争から戻ってこない夫を待つ不安を抱えながらも、気丈にふるまい、娘にささやかな喜びを与えようと夜なべする母親こそが、この絵本の影の主役だと思います。
豪華なパーティーなんてなくても、家族が互いを思いやり、共に過ごせるだけで最高のクリスマスになるのだという事を思い知り、心が洗われる気がしました。 (miki222さん 30代・ママ 男の子2歳、女の子0歳)
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