この絵本は、文も絵も安野さんが書きました。三人の数学者と相談して絵本を創るのも面白く楽しいのですが、ひとりで創るのもいいもんです。いちばんいいのは、安野さん一人なら、そんなに難しくならない点です。
編者など、何もしないで寝て暮らしていました。ときどき安野さんに「どこまでできました?」と聞きます。「まだまだ」「それなら、もうひとねむり」とのんびりくり返しているうち、安野さんは、ほんとうに一人で絵本を創ってしまいました。
これが美しい数学(7)で、このシリーズ最後の作品です。こんなふうに始ります。
むかし あるところに なまけものの男が住んでいました。そこへ仙人がでてきて、「ふしぎなタネをあげよう。そのタネを一個焼いて食べれば一年間は何も 食べなくても おなかが空くことはない。また、このタネを一個、地面にうめておくと来年の秋には、かならず実って 2個になる。」と言ってふしぎな種を2 個くれました。
怠け者の男は何年かたって、ふと、2個とも地面にうめたら、と考えました。次の年に2個のタネは4個にふえ、1個を食べて3個を埋めました。
自然の摂理は順序正しく整然としています。人間の暮らしもその摂理に従っています。当たり前のことですが、その当たり前のことが、よく考えてみると、不思議ですね。
続きを読む